「ツィゴイネルワイゼン」(1980)の成功を受けて移動式映画館シネマ・プラセットの第2弾作品として製作された“浪漫3部作”の2作目。泉鏡花の同名小説を原作に、偶然知り合った美しい女に翻弄される劇作家の姿を華麗な色彩美の映像で描く。年号が大正から昭和に変わった東京。劇作家・松崎春狐は、奇妙な偶然が重なり謎の美女・品子と3度も出会う。やがて品子から「4度目の逢瀬は恋死なねばならない」と心中を誘う文を受け取った松崎は、品子がいる金沢へ向かうが……。「ツィゴイネルワイゼン」に続き田中陽造が脚本を担当。主演は松田優作。2012年、“浪漫3部作”の「ツィゴイネルワイゼン」「夢二」(91)とあわせてニュープリントでリバイバル上映。
陽炎座評論(5)
加賀まりこ 38歳
楠田枝里子 29歳
彼女達がオバサンと見えるなら、まだ本作を受け入れる準備が出来ていないと思う
自分もかってそうであったから全く本作の価値がわからなかった
彼女達がなんと美しいのか、エロシズムに溢れているのかと驚嘆して食い入るようにその美しさを貪ることが出来るような歳になって、やっと見えてきたように思う
前景で行われる演技の背景には血みどろの凄惨な場面を詳細に描いた障壁画が大きく見せられる
女性の情痴の果ての愛憎の怖さ
それが、これでもかと展開中されているのだ
本作は松崎が覗く人形の裏、からくり眼鏡のようなものだ
彼女達への欲情の果ては恐ろしい結末が待っている
夢であった方がいいのだ
終盤、俳優の存在感そっちのけで子供たちの舞台を永遠と見せ付けるような演出にブッ飛び過ぎて呆気にとられてしまう!?
滑稽でトボけた演技を披露する松田優作の後半から異様な人物に変わる様はおどろおどろしい。
松田優作といえばハードボイルドなイメージですが、この映画ではシュールな紳士。
彼の新境地を開いた作品ですね。
映像がどこを止めても絵になるような美しいエロティシズム。
初めてみた時に衝撃すぎて理解不能だったため、2回3回とみていくとどんどんハマっていく。
鈴木清順の魔法にかけられた139分。
ストーリーは難解すぎて理解出来なかったが、何か物凄いものを見せられたと言う記憶だけが頭の片隅に残っている。
歌舞伎の世界とかおどろおどろしい世界観は結構よかったのに、ラストが冗談っぽくて全体的にコメディ仕立てなイメージが残ってしまう・・・もっと艶っぽくしてくれたらいいなぁ。
終盤に背景として出てくる血なまぐさい絵が雰囲気でてました。