フェリーニのアマルコルド劇情

巨匠フェデリコ・フェリーニが故郷であるイタリア北部の港町リミニを舞台に撮りあげた半自伝的作品。自身の幼少期のエピソードを盛り込みつつ、ある少年が家族や個性的な人々と触れ合いながら大人の世界をのぞき込む姿を、季節の移ろいとともに温かいまなざしで描く。1930年代。港町リミニで暮らす少年チッタは、学校の友人たちとイタズラに明け暮れる毎日を送っていた。年上の女性グラディスカに憧れるチッタだったが、子ども扱いされ全く相手にされない。

町にファシズムの足音が忍び寄る中、チッタの周囲では様々な出来事が起こり、その年は彼にとって生涯忘れられない1年となる。第47回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞。1974年製作・公開。フェリーニ生誕100年を記念した「生誕100年フェデリコ・フェリーニ映画祭」(2020年7月31日~8月20日=東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか)で4Kデジタルリマスター版が上映。

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フェリーニのアマルコルド評論(9)

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冬の噴水に降り立った孔雀の静謐。あの、どこまでも巨大できらびやかな客船の灯り。それからラストシーンで、みんなの上に平等に降り注ぐ日の温かさ。恐らくすべての人にとって、嘗ていちばん大切だったはずのものが、フィルムに焼き付いている。
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フェリーニ初体験。初体験がこんな熟女ムービーで良いのか、と思いましたが、それもまた運命ということで。

本作はじつにこってりした味付けの、脂ギトギト、旨味100%の映画でした。
本作にはストーリーがほぼありません。フェリーニを投影したと思われる少年目線で、彼が住む街の一年を徒然と描いているだけです。
シーンの積み重ねだけで描かれた作品でしたが、とにかくどのシーンも濃厚かつ基本バカなので飽きることはなかったですね。

私は上品で高尚な作品が好みなのですが、それは私のコンプレックスの反映で、結局肌に合うのは本作のようなエロ下品なしょーもねぇイキフンのガーエーなんですよ。思想性の欠けたソウル・フラワー・ユニオンのようなノリを持つ本作の猥雑な魅力にはあがなえませんでした。いやー、超面白かった!
なんだかんだと、本作は生命力にあふれ、人間愛・人間賛歌に満ちた豊かな映画だと思います。

本作はなにしろ下品ギャクのキレが最高です。
主人公のエロガキはとにかく熟女のパイオツとケツが大好きで、やたらとケツのどアップが出てきます。なんというが、ド正直でいいですね。
もっともウケたのは、豆売りのエロおじさんのエピソード。アラブの金持ちが囲っている女たちに逆ナン(?)されて、女たちの部屋に忍び込むと、女たちがするするする〜っと脱ぎ出して全員でエロいダンスを踊る!そしてエロおじさんはこの夜、28人の女たちと関係した…って、アホか!と突っ込む気力も起きない最高さ加減です。またエロおじさんがエロしか考えてなさそうな面構えなんですよね、しかしこのエピソードはなんなんだ!

精神病の叔父さんが木に登って「女が欲しい〜!」と魂の叫びを上げるシーンも爆笑!また、叔父さんの病気っぷりがリアルなんです。少しずつ調子を崩して家族と話が完全にかみ合わなくなるところとか、生々しく、だからこそブラックなギャクになっているようにも感じました。看護師がやってくるオチも、絵面が面白くて絶妙でした。

一方で、ただのエロバカ映画ではないのも、本作の魅力です。
基本的に本作は客観的でクールな視点で描かれているな、と思いました。エロガキが父親に暴力を振るわれるシーンも距離があり、ギャクとして描写されているように思います。
一方で、突然トーンが変わる霧のシーンや、孔雀以降の展開は、死が生の隣にあることを突きつけてきます。ここには恐怖や悲しみといった、当事者としての痛みが描かれていたと感じました。

この、エロ-シリアス、観察者-当事者といった振り幅の大きさが、本作のスケールをデカくしていると考えます。
そして、その振り幅の大きさこそが、清濁合わせ飲んだものが人間の営みなんだぜ、そうやって季節は巡って行くんだぞゴルァ!と、フェリーニ師匠は語っているのだと思います。
oscvkdi
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綿毛が春の到来を告げ、冬の終わりを告げる祭りが始まる。
そして、再び綿毛が舞うまでの1年間。
ある一家、特に長男チッタを中心に話が展開するが、様々な人のエピソードが雑多に点描される。ゆる~い起承転結はあるが、街の日常を描いた作品。
ただそれだけ。
街の歴史等の解説は入るが、登場人物の解説はない。
他の映画なら15分で飽きるのに、この映画は飽きない、最後まで見せ切る。ロータ氏のメロディに乗せられて、なぜか目が離せなくなる。

異国、かつちょっと前の時代の、ファシズムの影はちらつくが、ごく普通の生活の風物詩。

随所に出てくるおならネタ。お尻ネタ。それから、それから。『週刊ジャンプ』等で炸裂する、男児が好みそうな小ネタの数々…。子どもと見ていたら焦るかも…。
15歳の長男とその学友達の思春期エロ目線・妄想、憧れ、経験、いたずら。初恋。
風刺化された教師達の授業が笑える。
ファシズム。それにまつわるエピソード。
豪華客船。
嘘っぽい不思議なエピソード。
季節ごとのエピソード。
葬式。
結婚式。
この映画では、精神障碍者・視覚障碍者・低身長な方々も、扱いは雑だが、そこに暮らす人として出てくる。排斥しない。おじさんのエピソードは強烈だが、家族の一員。突き放しているようでどこか温かく、可笑しい。

幾人もの主要人物?とみえる人物が登場し、その彼らがお互い関係している関係もあるけれど、単に並列的に登場し、映画全体の筋を追うと混乱する。
そんなエピソードの羅列で、つなぎが唐突に見える個所もあるけれど、
喧噪だらけだったキッチン兼ダイニングの火が消えた様は胸にグッとくる。
エピソードも、人々の心の動きを活写しているところ、
ダンスや演劇のように凝った演出のシーンと、一つ一つテイスト、アングルが違う。
特に、まったく雰囲気が異なる霧のシーンは、影絵のようでもあり、幻想的な世界に連れていかれる。
そのあとに続く、少年たちのダンス、チッタの妄想のような体験、病気、幻想的な孔雀、病院、葬式。そして春の到来、ラストのシーンの展開に惹きつけられる。

15歳長男チッタが青年に見えて、ちょっと無理があったような。でも、演技は15歳っぽい。そのギャップが惜しい。
他の役者はみな、見事。特にチッタの両親の喜怒哀楽。
そしてヴォルピーナが、福祉が整っていなかった頃はああいう方も街でああやって暮らしていそうで唸ってしまった。あれ、演技だよね。

解説によると、『アマルコルド』は「私は覚えている」という意味(監督の故郷の既に使われなくなった言葉がなまったもの)とか。監督の少年時代?夢?の映画?

喜怒哀楽、人生にはいろいろあるが、季節は巡る。
そんなことを思い出させてくれる。
djyxnu
djyxnu
北イタリアのリミニ地方の四季を豊かな詩情で描いた連作絵画の美術映画。フェデリコ・フェリーニ監督とニーノ・ロータの音楽によるノスタルジーと人間賛歌が愉しい。私的には、「道」「81/2」と並んでフェリーニ映画のベスト。四季折々の変わり行く自然の美しさに囲まれた飾らない人間の生命感が、どのシーンにも溢れて、何とも言えない感動に包まれる。老若男女が小舟に乗り込み沖合で待ち構えて、夜の海上で遭遇する豪華客船レックス号の美しき光の偉容。興奮する人々の歓声にある、文明への畏敬と感動の涙。大雪の後の真っ白な街に突如舞い降り大輪の鮮やかな羽を広げる孔雀の美しさ、その映像表現の独自のイマジネーションに圧倒されます。フェリーニ監督のノスタルジーが、少年を取り囲む家族や街の人々などの多様な視点から捉えられ、短い1年の歳月の中に凝縮されて描かれた、普遍性に至る見事な表現力と豊かな感性。映画館と云うより、民族画家の庶民生活を活写した名画の個展を巡る美術鑑賞に近い興奮に、想像力を刺激される。
gkjteby
gkjteby
ちょっと苦手なフェリーニ。
今作も、さっぱりわかりませんでした。

なんてったって、字幕がなくても理解度が変わらないんじゃないか?ってくらいわからない。
だけど、面白く見れちゃうから不思議。

眠い状態で見始めたのに、最後まで楽しめました。
そのうち少しは理解できたらいいなぁと思いつつ、他のフェリーニ作品も挑戦してみます。

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