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ソラリス評論(16)
前回よりも恋愛要素を強くして、映像もより耽美で情緒的に。
先にこっちを見ておけば、前作、もっと分かりやすかったのかもなぁ〜っと思いました。
芸術的な映像ということも感じたし、いったい見る側に何を伝えたいのだろう?
とも率直に思ってしまった。
一種の宗教観なるものを感じ、死という誰もわからない答えのないものを考えてしまう映画。
私の評価は低いが、見終わったあとに哲学的な回想を巡らせてくれる意味では良い映画なのであろう。
神秘的な仕上がりにしたかった、というのはよく分かります。視覚的なSF映画というよりスピリチュアルな空想の映画。
しかし、恋人が蘇るラブストーリー色が濃いため、ソラリスの神秘性はいまいち伝わってこない。もう少しプラス要素があるとよかったが。
過去にもソラリスって作品があったらしいですが、関係ないです。
とにかく切ない映画です。恋愛ものでもあります。
ゆっくり進んでいきますので、眠いときはダメです。
切ない気持ちになりたいときはオススメです。
部屋を暗くしてみてください。
「雨」がいい味出してます。
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 65
「惑星ソラリス」というちょっとマニアックに人気のソビエトのSF映画があって、そのリメイクらしい。しかし前者は見ていませんし、それとはそれなりに違うより原作に近い映画ということらしい。
妻を悲劇的に亡くしたクリスと、クリスが見た夢から情報を得て突然出現した妻。その妻はソラリスの力と見られる要因によって合成されたものと考えられる。クリスはその合成の妻を通じて悲しみを埋めていく。このような現象が起き続けて人を惑わしていたわけだが、それが直接人を攻撃をしてきたり惑星や出現したものが統一した行動をとるわけではない。
出現したものは心の動きや悲しみや過去へのこだわりについての描写であり、宇宙がどうとかSFとかという話ではない。その心理描写が繊細で、ゆっくりと時間を取り戻していく。自責の念と哀しみに満ちた心が少しずつ現実と夢との間に溶け込み、最早地球での生活すらどうでもよくなるという気持ちと、現実に戻り乗員を救出し自らも帰還しなければという気持ちが葛藤するような部分はかなり面白い。
しかしどうも最後はどうなったのかよくわからない。主人公は帰還したのかソラリスに囚われたのか。ソラリスについてもよくわからない。あるいはそれがいったいなんの目的でそのようなことをしたのかもわからない。邪悪な意思があったのか、純粋に人の心に反応するだけのものなのか。いろいろなことが謎に包まれたまま映画は終わってしまう。
映画は謎を明らかにする必要はないが、わかりづらいものになっているのも確かである。そして当初のクリスと妻との心理の変化の場面に対して、この映画は何が主題だったのだろうかと思ってしまう。