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ヴェラクルス評論(4)
皇帝と反乱軍、どちらにつくかの場面、演出がくさい。女を助けた後で、何の気配もなくいきなり包囲されたかと思えば、それをあっさりと引き上げさせる。冒頭からそんな感じなのであまり期待出来ないかと最初は思ったのだが、観てみると案外悪くなかった。主人公二人・皇帝・夫人・反乱軍などが交じり合って300万ドルの金貨を追いかけ、裏切り、策謀を巡らしていく展開が忙しいし、お互いに出し抜こうとして約束事も義理も知ったことじゃないという態度が潔い。その中で、欲望に忠実な一匹狼ジョーを演じたバート・ランカスターは存在感があった。1954年制作なのに天然色で大量動員した映像も健闘している。
問題点は、登場人物の背景や立場の掘り下げが浅くて、あまり共感や思い入れをもてないこと。大量の銃弾が飛んできても当たらない戦闘の場面はちょっと手緩さがある。それから主人公二人が反乱軍に10万ドルの報酬で加わることを交渉したが、反乱軍の将軍はすでにたくさんの兵士を抱えているので、彼らにそんな大金を払ってまで味方になってもらう理由が無いこと。過去を取り戻すための金を求めてメキシコに来て命懸けだったゲーリー・クーパーの、その彼の突然の心の変化を描ききれていないため、最後の行動の結末も綺麗ごとに見えた。
馬が隊列をなして走るの、好きだったなぁ。かすかに芽生える男の友情も悪くないなぁ。もうちょっとアクションが良かったら、面白かったなぁ。
バート・ランカスターのニヤニヤした顔がかっこいい。コンゲーム的な要素はあまりうまくいってないけど楽しかった。
ラストで見せる前歯を剥き出しにしてニタリと笑うバート・ランカスターの顔が印象的でした。そしてそのまま彼は砂埃を上げて地面に崩れ落ちる。
こんなカッコいい死に様は、そうお目にかかれるもんじゃない。
そのおかげで本作の主役であり、キャリアでも大先輩だったゲイリー・クーパーは、完全に食われてしまったね。
結局、目立ったもんが勝ち!のハリウッドの世界。