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アルゼンチンババア評論(8)
風変わりな女性アルゼンチンババアことユリを演ずるのは鈴木京香。手入れをしてなさそうなほどぼさぼさに伸ばした白髪まじりの髪。たしかに世捨て人であるかのようなその風貌からはババアと呼ばれるにふさわしいエッセンスが詰め込まれているのですが、設定では50歳くらいなのに、やはり若さは隠しきれない。それもハチミツ効果だと言われればそれまでなのですが、顔全体や唇の艶と髪がアンバランスなのです。それでも役所広司と並ぶと妙にマッチしていたため、よき熟年カップルぶりを堪能(?)できました。
よしもとばななの原作は読んだことないのですが(というより、彼の作品は一冊も読んだことがない)、この映画に関しては設定だけはとても個性的で、慣れてくると平凡な家族愛としてしか感じられなくなってしまう。そんな中でも、一人の人間が生きていくことの大切さと子は親があってこその存在であることが感じられる。それは鈴木京香の言葉でも感じられるし、田中直樹の言葉からも感じられ、堀北真希をほったらかしにした役所広司の態度はそれを弁証法的に検証しているかのようでもあった。妻を亡くしたばかりの男がすぐに別の女性を愛することができるかという心理にしたって、森下愛子が自分の浮気癖を棚上げした再帰的検証によって納得させられている。
などとわけのわからぬことを考えるよりも、身内の死から逃げ出したかった男にありがちな弱さを見せつけられただけ。「わかる、わかる」と共感して、独特な雰囲気を持った映像を楽しめたので満足です。カメラワークでは特に4人で囲んでラーメンを食べるシーンなんてのは印象に残りますし、舞台となったあの屋敷が脳裏に焼きついてしまいました。アルゼンチンタンゴを踊るシーンもよかったのですが、役所広司のダンスをメインにしなかったのは『Shall We ダンス?』とダブってしまうからなのか・・・音楽も周防義和だし。
美しい空や草をそのままの色を生かしてあげてほしい。
あまりの映像の気持ち悪さに途中でみるのをやめてしまった。
2011/1/20 @CS
映画「アルゼンチンババア」(長尾直樹監督)から。
鈴木京香さん扮する「アルゼンチンババア」の
インパクト強すぎて、役所広司さんや堀北真希さんが
霞んでしまうほどだった。強烈なオーラを放ったまま、
最後は、自分の子どもと引き換えに死んでいく。
そんな「アルゼンチンババア」(みつこさん)を、
セーラ服姿の堀北さんが懐かしく思い出すシーン。
「今でも思い出す、ゆりさんの言葉があります。
ねぇ、みつこ。どうして、人と人は愛しあうか、知ってる?
(自分の歴史を残したいから?)
それもあるけど、時間よ、どうか流れないでって。この瞬間が、
いつまでもいつまでも、ずっと続いていて欲しいって。
永遠に続いて欲しいって、そう願うからなの」
今までもラブストーリーは数多く観てきたけれど、
この定義に、グッときてしまったから、気になる一言。
じっくり考えると「?」と思ってしまう定義でも、
こんな「詩」的に表現されてしまうと、参るよなぁ。
映画のキャッチフレーズ
“しあわせがじんわりと体中にしみわたる”
なんかほんと見終わったあと、徐々によかったかもって思えてくる映画。
アルゼンチンババアの作っているはちみつの効能がやばい。ほしい。