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晩菊 プロット 日本 06月22日 1954 台灣上映
晩秋 プロット アメリカ 04月20日 1990 台灣上映
晩鐘(1987) プロット 中国 11月25日 1988 台灣上映
一晩中 プロット ベルギー・フランス合作 04月07日 2023 台灣上映
母三人(1949) プロット 日本 04月24日 1949 台灣上映
女の一生(1949) プロット 日本 01月25日 1949 台灣上映
晩春(1949)評論(20)
・本音をぶつけた時に少し泣く
・話が大きく動いてから最後にかけてボロ泣き
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:55点|ビジュアル:65点|音楽:60点 )
趣味に合わないと感じてもう小津作品はいいやと思っていたが、原節子の若い頃はどうなのだろうかと気になって観てみる気になった。
相変わらず科白はかぶらないように交互に喋り、小津作品らしいゆったりとした雰囲気で家族模様の話が進んでいく。古き日本の美しい情景ではあるものの、やはりこの演出が古くて退屈に感じる。
戦後間もない時期を背景にして実際にその時期に制作されている。だから日本人の多くが食べ物にも困るようなかなりの貧乏人であったかもしれないが、そんなことも気にしないほどのんびりとした平和な生活を観ていると、裕福で幸せな人たちだと思う。百貨店で買い物したり喫茶店でお茶したり能を鑑賞したりなんて、この時代はきっと普通の人は出来ないよな。そして生活に困窮する話などは出ないまま、親子の結婚の話がどうなるのかという本題に入っていく。
だけどこの時代としてはいい歳なのに何故そこまでひたすらに結婚を否定して父親と一緒にいたがるのかが描かれていないのが気になった。娘の結婚が主題なのだから、そこを教えてくれないと彼女がただの融通のきかないだけの人に思える。結婚を急かされて反発する彼女の内面を教えて欲しい。
監督の意向なのかもしれないが、名優と言われる笠智衆でも科白のいかにも科白です的な不自然な言い方は好きになれない。ただし44歳で58歳の父親役を演じているのはすごい。それにしても当時の58歳は随分と老けて見える。ずっと安定した感情を保ちながら最後の孤独さを表す場面は良かった。
原節子は異国風の堀の深い顔立ちがやはり目立つ。この時代は逆にそういう日本人離れしたところが受けたのだろうか。落ち着いた雰囲気の中で感情の変化がある役どころであったのが印象に残った。
小津安二郎初体験。果たして世界に冠たる小津映画はどんなものかとワクワクして本作を鑑賞しました。
感想は、面白かったけどあまりハマらず。でも、もしかすると過剰なファザコンを描いた本作が小津映画の中でも異質で、東京物語とか観たらまた違う感想を持つような気がします。
主人公・紀子はちょっとキてますね。はじめは朗らかで魅力的に思えたのですが、父の再婚話での異常な嫉妬を剥き出しにする姿を見てドン引き。よくよく見ると紀子は他者の気持ちを慮るシーンはほぼなく、喜怒哀楽も垂れ流しでコントロールが効いていない。
おそらく彼女はすごく幼いんですよね。精神的には年中〜年長さんってとこ。父への過剰な執着は「大すきなパパとずーっといっしょにいたい!」って感じです。幼稚園児ならそう考えるのは当たり前です。途中で紀子を成人女性としてではなく幼稚園児として観ると、違和感がなくなりました。
しかも、紀子は父親以外から影響を受けないため、クライマックスまで成長しません。この閉じられた感じもヤバいですね。日本の伝統的な闇を感じます。
そんな27歳児も逃れられない運命がありまして、それが強制結婚です。価値観の多様性・自己決定権が重視される現在とは違い、当時は周囲が一丸となって「結婚シロー!」と圧力をかけてきます。
これは、ある意味よくできているかも、なんて感じました。おそらく舞台が現在ならば、紀子は父子密着のままずっと行ったと思います。周囲の圧力もそこまでないだろうし、父親も優しいから踏ん切りつかなそうだし。
でも、強制結婚は強引に父子を引き剥がします。しかもそれは個人の意思とかでなんとかならない社会システムによるものなので、紀子も心の奥底ではいつかこの日が来ることを覚悟していたと思います。なので、父親の渾身の説得を受け止め、観念できたのだと思います。観念できたってのは、成長ですからね。
とはいえ、この強制的な分離はトラウマ体験にもなり得るので、新郎の熊太郎さんが良い人でないと紀子のメンタルはブレイクダウンして毒親化し、世代を超えて呪いが引き継がれていくでしょう。
…やっぱり野蛮でヤバいですね。しかも小津は独身だったので、強制されるのは女性のみだったのかも。うーん。
作風としては、元祖オフビートギャグが面白くて、結構笑えました。杉村春子が財布を拾ってネコババしようとしたときに警察が見切れてくるとか、ニヤリとしました。笠智衆のリフレインギャグもなかなか。この辺はジムジャーっぽさを感じました(小津ちゃんが影響を与えてるんだけどね)。
原節子のバタくさい美しさには絶句。すっかりファンになりました。
気になったのは、終幕近くで笠智衆に対して月丘夢路が「遊びに行くわ、チュっ☆」みたいなシーンがあり、なんか中年男のドリームって感じがして本作の中でも浮いているように思いました。もしかすると21世紀ハーレムアニメの源流も小津ちゃんにあるのか、なんて邪知してます。