「嘆きの天使」「モロッコ」に次いでジョセフ・フォン・スタンバーグが自ら原作し、監督にあたった映画である。脚色者は「テキサス無宿」と同じくダニエル・N・ルービン、カメラは「モロッコ」「戦う隊商」のリー・ガームス。主なる出演者は「嘆きの天使」「モロッコ」のマレーネ・ディートリッヒ、特にフォックス社から籍りられたヴィクター・マクラグレン、「放浪の王者(1930)」「危険なる楽園」のワーナー・オーランド、「女の一生」「紐育の波止場」のグスタフ・フォン・セイファティツ、「四人の悪魔」「父と子」のバリー・ノートン、ルー・コディなどである。
間諜X27評論(4)
細い長い眉、スラリと真っ直ぐな長い脚
冒頭いきなり結論として氷雨降るウイーンの街角に立つ彼女の脚のアップから始まります
やさぐれ感溢れる雰囲気が素晴らしい
前作のモロッコより更にキャラが立っています
スターになりかけているのがハッキリ分かります
お話の方もなかなかに面白いです
高級ホテルのカジノにシャンパン
いい女にいい男、高そうなドレス、粋な会話
主人公を男にすればそのままジェームズ・ボンドの世界です
中盤はポーランドの田舎ホテルに潜入しての垢抜けないおぼこい年増メイド姿の変装も可笑しく楽しめます
終盤のウイーンに戻ってのハードなクライマックスに突入します
ロシアのスパイをわざと逃がすシーン
レザーの飛行ズボンの股のところに拳銃を弄ぶ、なんというエロチックなことでしょう
デートリッヒの魅力を存分に引き出した傑作だと思います
①銃殺される直前、兵士の掲げる剣の表面を鏡にして口紅をひき、兵士に蠱惑的なしなを作って微笑んだ後死んで行くディートリッヒの粋さよ!
「反オーストリアか?」の問いに客が頷くと、女は警察を呼んで男を逮捕させた。その愛国心が気に入られ、早速スパイとなった・・・早っ。まずは軍の大佐が売国奴という評判であり、証拠が掴めなかった。いとも簡単に見破り、大佐は速攻で自害。次なる相手はロシア人将校がすっかりオーストリア人として空軍中尉となっていた。電話線も切られ、ピストルの弾も抜かれていたため、その場では逃げられるものの、再びポーランドに潜入し、ピアノの楽譜によって暗号を見破るなど活躍するが、最後にロシア軍大佐のヴィクター・マクラグレンを逃がしてしまったため祖国で処刑されることになったX27。
どこから愛してしまったのか?多分最初のキスだろう。堂々と「愛してしまったから」と吐くディートリッヒでもあるが、元軍人夫人であることも関係あるのだろうか?ちゃんとした身分もあったのに娼婦に身を落とした経緯も知りたいものだ。死に際のシーンに対してはかなり評判がいいけど、メイドに変装したシーンのほうが魅力あるような・・・