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ブロブ 宇宙からの不明物体評論(9)
「マックィーンの絶対の危機(ピンチ)」のリメイク版です。
観たことはありませんが、スティーブ・マックィーンが無名時代に主演していたということで、今でもファンの間でカルト的な人気を誇っている作品だそうです。
宇宙から飛来した人喰いアメーバがアメリカの小さな街に出現。次々に人々を捕食し、街ひとつ丸ごと飲み込めるくらいまで成長してしまいます。このまま増殖を続ければ、地球が滅びてしまう!
そんな絶対の危機に街に住む若者カップルが立ち向かうというB級SFホラーです。
知らない俳優ばかり出演しているので低予算感は否めませんが、アメーバの特撮が秀逸の極みでした(色がピンクというのもまた不気味でグロテスク…)。工夫次第でクォリティーは上げられるということですねぇ…。金の多さなんか関係無いねってことかぁ…。
ブロブが肉感的で、リメイク前の『マックイーン絶体の危機』のスライム感がなくなっています。
ストーリーも不良少年とヒロインの構図は残し、人為的に起きた生物によるパニックと生物の研究者の絡みを交えて、つじつまをあわせています。
勿論、住民が様々な形でブロブに食い殺される様を見るのも醍醐味の1つのです。
山に住むじいさんをじっくり味わったのを皮切りに、スケベ心に囚われた若者達を次々と食していきます。
襲われた映画館の映写機が一台しか見えなくてフィルム交換どうするんだ?と思ったりもしたけれど、つっこんでも仕方ないな。
ラストに狂った牧師がビン詰のブロブによる審判の日を語るシーンは自分的にはもうひとつと。
収拾が付かなくなって何となく終わりましたじゃなくって、しっかりオチがある所が良いですよね。襲われてても何処かしら楽しそう。ホラーが苦手って人でも普通に楽しめる作品でした。
スティーブ・マックイーンが主演を務めた、1958年公開の映画『マックイーンの絶対の危機』のリメイク。
謎のブヨブヨモンスター「ブロブ」が人々を恐怖に陥れるパニック・ホラー。
脚本は『エルム街の悪夢3』のフランク・ダラボン。
序盤の雰囲気はすごく良かったです。大学のアメフトの試合という場面にもかかわらず、空は曇り空。BGMも控えめに挿入されている。これから何か不穏なことが起ころうとしていることが伝わります。
保安官が寂れたレストランでその女店主を口説く場面があることで、この田舎町が特に事件もない平和な町であることが示唆されています。
主人公であるブライアンのファッションが、いかにも80年代のティーンエイジャーといった感じでいいです。革ジャンにジーンズ、長髪に大型バイク。タバコを吸いながら飲む酒はバドワイザー。良いですねー☺️
本作のヒロインメグを口説くポール君。初デートにもかかわらず、彼女の父親には誤解され(「さざ波…」は素直に笑いました)、ホームレスを轢き、あげく序盤でブロブくんにぶっ殺されるという可哀想な青年。
なんの前情報も仕入れてなかったので、この青年が主人公だと思ってました。ポールとブライアンのダブル主人公だと思い込んでいたので、彼が速攻で殺されたことが本作で一番驚いたポイントです(笑)。
作り物感満載のブロブくんを見ると、CGが発達する前の、古き良き映画の時代への郷愁に駆られます。
取り込むことしか殺害方法がないブロブくんですが、排水溝や電話ボックスをうまく使って見事なテクニックを見せてくれます。
女子供関係なくぶっ殺すとは、ブロブくんはほんまにモンスターの鑑や!
宇宙から来た謎の生命体だと思われていたブロブくんですが、じつはアメリカ軍の生物兵器だったことが判明。「ブロブ/宇宙からの不明物体」という邦題は一体…
研究機関の人たちは火器を使ってブロブくんの捕獲を図りますが、実はブロブくんには火器は効きません。なんと冷気が弱点でした。
…いやいや、研究機関の人たちならそのぐらいは基本知識だろ!対策してから乗り込んでこんかい!…というのが本作の最大のツッコミどころですね。
クライマックスでの、一刻を争う場面にも拘らず降雪車のシートベルトを締めていたおかげでピンチに陥るブライアンや、勇ましくブロブくんを挑発するが、足が引っかかり窮地に陥るメグのシーンはマジメに演じているからこそ、笑えるシーンになってましたねぇ。
作品冒頭のブライアンの度胸試しのシーンや整備工場のオッさんとの会話が後の伏線になっていたのは、映画っぽくて良かったです。
メグとブライアンがいい感じになって終わりますが、ますますポール君が救われねぇ…
オチはゾッとする感じで、結構好きな終わり方でした。
総評としては、良くも悪くもB級ホラーで、それ以上でも以下でもありません。丁寧にお約束をなぞりながら作られており、決して退屈な映画ではなかったです。頭を空っぽにして映画を見たいときにオススメの一品です。