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ルビー&カンタン評論(1)
主人公のカンタン(ジェラール・ドパルデュー)の阿呆ぶりと強面なやくざのルビー(ジャン・レノ)の取り合わせの妙を楽しむ趣向のコメディ映画なのでしょう。
同監督の「奇人たちの晩餐会」がナンセンス・コメディの快作だったので本作も期待したのですがさほど笑えるコメディではありませんでした。まあ、笑いのツボは人それぞれ、ジャン・レノが出るのでアクション・シーンはお約束でしょう。
原題のTais-toi!は「お黙り!」、カンタンのおしゃべり癖にスポットしたのでしょう。
ストーリーはカンタンの思い違いなのですが、ルビーに認められたと思って片想いのようにルビーにご執心、迷惑がられるもルビーの復讐劇をカンタンが助けることで友情らしきものが芽生えてめでたしめでたしということでしょう。
根っからの悪人ではないとしても主人公の二人はれっきとした犯罪者、復讐といっても元はと言えばやくざの内輪の話なのでそちらのカタルシスは薄いです。
見どころはコメディ要素なのですがジャン・レノはいつも通りのキャラ、ただ手首を切る自殺未遂とは女々しすぎるし、女装までさせられて気の毒としか言えません。
問題はカンタンのお馬鹿ぶり、フランシス・ベベール監督のもち味は一見普通の人が突拍子もないことをするギャップに可笑しさがあるのですが牛の玩具やブーブークッションなどで喜ぶさまは奇人と言うより単なる知恵おくれのおじさんになってしまい残念でした。ただ、カンタンがジャン・レノ顔負けのタフさというのはある種ギャップなのでしょう。