犯罪映画のトリックを知り尽くした男が、家族を守るため完全犯罪に挑む姿を描いたサスペンス。2013年にマラヤーラム語で制作されたインド映画「Drishyam」をその2年後にヒンディー語でリメイクした「ビジョン」を、中国映画としてリメイクした。幼少時に中国からタイに移住したリー・ウェイジエは、現在はインターネット回線会社を経営しながら、妻や高校生の長女、まだ幼い次女と幸せに暮らしている。信心深く穏やかな人柄の彼は、地域の誰からも好かれていた。ある日、サマーキャンプに出かけた長女ピンピンが、不良高校生のスーチャットに睡眠薬を飲まされて暴行され、その様子を撮影されてしまう。動画をネットに上げると脅されたピンピンは、そのスーチャットと揉み合いになり彼を殺害してしまうが、スーチャットは警察局長の息子だった。映画マニアであるリーは、それまで見てきた映画のトリックを応用して完全なアリバイ作りに着手する。出演は「ドラゴン・ブレイド」のシャオ・ヤン、「チィファの手紙」のタン・ジュオ、「ラストエンペラー」のジョアン・チェン。
共謀家族評論(19)
オリジナル版のインド映画は未見だが、多分オリジナルにあったエンタメ要素を抜いてサスペンス度を高めたのではないかと思う。
もっとも、本作の悪人は市民を守るはずの警察側。自身の保身と家族愛のために、暴力に加えて証拠隠滅を企てるなんて職権乱用も甚だしい。このあたりも『ショーシャンク』の極悪看守を彷彿とさせるが、そのボスとなる警察局長を演じたジョアン・チェンは久々に観たけど、まさに鬼畜ぶりが堂に入っている。
情状酌量の余地大アリとはいえ、しっかり罪の裁きを受けるオチなのは、やっぱり舞台が仏教の国タイだからか。でもそのオチも、父親のヒロイックぶりがとことん効いている。
一歩手前で終わらせておけば良かったものの、完全に蛇足ですやん。
最後にひとひねりしたかったのかもしれんが、失敗してると思う。
オリジナル版と1回目のリメイク版は知らずに観賞。
身体を求めてレイプ映像で脅しを掛けてくる警察局長の息子を、誤って殺してしまった女子高生の娘と、居合わせた母親を護るべく画策する父親と、その家族達の話。
タイで暮らす中国移民でネット回線会社を営む映画好きの主人公の娘が、サマーキャンプで出会った警察局長の母と市長候補の議員の父を持つアホボンボンに薬を盛られてレイプされ、帰宅後更に付き纏われて巻き起こるストーリー。
家族の異変に気付き出張先から慌てて帰宅した父親の提案により、後付け完全犯罪を仕組んで行くけれど、やはりそこは付け焼き刃。
紙一重で仕組んで行く様はなかなかスリリング。
更にその段階ではないのに暴走する警察による尋問と捜査に対抗していく様は、スリリングさに爽快さがプラスされていく。
まあ、殺されたのはクソ野郎だしね。
ただ、流されてたけど「あいつ」って口にしちゃってたね。
ラスト5分の展開は、正直いらなかったと個人的には感じたけれど、まあ、それはそれで違う感情に繫がっていたし、ラストカットに繫がったってことで良しなんですかね…。