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007 ドクター・ノオ評論(20)
が、依然として輝くところはある。
この映画、60年代の低予算映画にも関わらず、普通に面白い。
昨今のポリコレなど、全く配慮していないので、不快感を感じる方もいらっしゃるだろうが、そういうことを割り切れる方には普通に楽しめるように感じた。
派手なアクションも、感動的なストーリーもないのに楽しめる理由はこの映画が映画のツボを押さえてるからだと思う。
カメラワーク、音楽や効果音、セット、照明、演技、全ての要素がとても小綺麗にまとめられている。カメラワークは見易く、退屈しない。カメラワークの基本だ。
音楽、種類は少ないが状況に応じて適切に使用してる。基本であり、理想的だ。
効果音、全て自然で目立たないが確かに迫力と手触り感を観客に提供している。基本だが、なかなか難しい。
セット、安っぽさも感じるが、斬新だ。
照明、セットを見れば、スタジオで撮っていると分かるが、なぜか南国に見えてしまう。凄まじい技術だ。
演技、未来の名優ショーン・コネリーの初主演作なので、彼の演技はそこそこ、ヒロインの演技は良くないが、気にならないように作ってる。脇を固める役者もそこそこ。コネリーと女優の画面から溢れ出るフェロモンで補えるレベルだ。
以上、ちゃっちくて、今となっては見るに堪えない作品だと思われるかもしれないが、細かいところで監督の技量の高さが垣間見れ、準良作となっている。
興味のある方は是非観ていただきたい。
なかなか笑える。
今じゃ誰でも知っている事は彼がウィックを被っていた事。それでも、かっこ良いが、自然に被らなくなった彼のほうがスコットランド人らしいカッコ良さがある。
さて、ジャマイカは1962年8月に独立している。しかし、イギリス連邦はそのままで、元首はイングランド国王のままである。同じ英連邦だが、インドやマレーシアとは違う。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと同じ。従って、英国のスバイは今でも暗躍しているはずだ。
今から60年も前の映画で派手なアクションは無く、出でくるマシンも時代遅れでしかない。
ノウ博士の服が人民服なのは大変に面白く、ドイツと中国とはファシズムのDNAと解釈しているのかなぁ。
のんびりしたジャマイカで最初は刺客かと思ったが仲間になってくれた現地のクォレルやCIAのライターなど魅力的な協力者もいるし、諜報員ストラングウェイズを殺したと思われる地質学のデント教授もいい。スミス&ウェッソンの弾は6発だからね!覚えとけよ!って、死んでたら意味ないか。
謎の島クラブ・キーが南国ムードが漂っていて、そこで見つけた貝殻拾いのボンドガールとなるハニー・ライダー。敵の攻撃も凄まじいし、火を吐く戦車を竜だと地元民に印象付ける手口。何としても原子力の秘密は隠し通さねばならないのだった。
敵は、今後の宿敵になるスペクターの第1号が世界征服の野望のために原子力でロケットの軌道を変える実験するもので、ボンドを味方に引き入れようという考えによってすぐには殺さない。殺そうとしたり、毒を盛ったり、接待したりと、ボンドとしても気が抜けないけど、とにかく核施設を見つけねばならない使命に行動を移すのだ。
キューバ危機の直前、しかもジャマイカ独立の年に作られた007第一作。東西冷戦を描くには影響がありすぎるためなのだろうか、とにかく東西陣営に関係のない(断られた)スペクターという組織の登場だ。ジャマイカ国旗も当時のイギリス連邦加盟ジャマイカの国旗。車も左側通行だ。
本来ならシリーズ最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』をとっくに見てレビューも書き、名残惜しさと共にダニエル・ボンドに別れを告げていた筈なのだが…、コロナなんてもののせいで…。
超楽しみにしていたので11月への公開延期は超残念だが(終息して本当に見られるのか…?)、コロナに対してお陰でなんて言いたくないが、シリーズを見直す機会が出来た。
一応シリーズは全作見ているが、もうだいぶ前。リアルタイムで見たピアース・ボンドやダニエル・ボンドは覚えているが、ショーン・ボンド~ティモシー・ボンドは正直不鮮明な点あり。
いつかまたシリーズを全作見直したいと思っており、ダニエル・ボンドもシリーズ最新作で卒業という絶好のこの機会に!
11月の公開までに、シリーズ全作を不定期レビューしていきたいと思います。
という事で、
1962年公開。
今年で58年続く映画史上屈指の長寿シリーズでスパイ映画の代名詞、『007』の記念すべき第1作目!
ジャマイカでアメリカの宇宙開発計画を妨害する謎の不正電波の調査を当たっていた英国諜報員とその助手が消息を絶つ。
英国秘密情報機関“MI6”にその捜査を命じられたのは…
初登場シーンは、ブラックジャック最中のクラブにて。
なかなか顔を見せない。
名前を聞かれる。「ミスター…?」
「ボンド、ジェームズ・ボンド」
この名シーン、この名台詞! 映画史上最も印象に残る台詞にも選ばれた。
煙草に火を付けながらなのがまたいちいちクール。
一度はこんな風に名乗ってみたいと誰もが憧れ。でも、日本人だとねぇ…。それに、私ゃ煙草も吸わないし…(^^;
名シーン、名台詞であると共に、映画史上屈指の名キャラクターでもある。
ジェームズ・ボンドを超える映画の名キャラクターはそうそう居ないだろう。(なのに私のリア友は、ジェームズ・ボンドも『007』という作品自体も見た事ない、知らないという輩が居て、衝撃でもあった…)
時に任務の為なら殺しの認可も与えられたMI6のエリート諜報員。コードネームは、“007”。
愛車アストン・マーティンはまだ未登場だが、この第1作目からマティーニを嗜み、ワルサーを使い、スーツでビシッとキメる。
どんなに危機に陥っても任務は必ずやり遂げ、それと同じくらい女も完璧に落とす。
キャラ設定もパーフェクト!
それを魅力的に築き上げたのは、初代ボンドことショーン・コネリーの功績に他ならない。
もう引退して久しいが、我々世代がよく知るショーン・コネリーと言えば、渋い声と演技と存在感の名優。熟れて熟れて、最上級のワインになったかのよう。
抜擢された頃は、当たり前だが、何と若々しくカッコいい。そりゃあ女性は勿論、男だって惚れる。
ほぼ無名に等しかったが、抜擢された理由は監督曰く、「だってあいつは、如何にもキ○タマ持ってるぞって感じがするじゃないか」と語ったのを聞いた事がある。
確かに!(笑)
胸毛濃く、男のフェロモンがムンムンで、キ○タマも持っている!(←卑猥な意味ではなく、満ち溢れた男気という意味で)
後に「ジェームズ・ボンドの全てが嫌」と降板するが、でもやはり、ショーン・コネリーは伝説の初代ボンドなのだ!
それにしても、コネリー御大は現在89歳とは…!
さて、話の方は…
ボンドはジャマイカへ。アメリカCIAエージェントと協力し、やがてある島の存在を突き止める。
“クラブ・キー”と呼ばれ行ったら二度と帰って来られず、ドラゴンが居るとされ、“ドクター・ノオ”という人物が浮上。
島に乗り込み、そこで目撃した陰謀とは…!
冷戦や宇宙開発計画真っ只中。
それらを背景にしたのはいいが、今見ると物足りなさも感じる。
低予算で地味な印象。スパイ・サスペンスといった感じ。
昨今のシリーズのようなアクション大作ではなく、ド派手な見せ場も無い。
また所々、緩くシュールなシーンも。最たるは、敵の秘密基地での放射能除去シャワーシーン。そういや、似たシーンが『オースティン・パワーズ』でパロディーにされてたね…。
ベッドの中に毒蜘蛛も何だか滑稽で、ドラゴンとは名ばかりのチープな火焔放射付きの戦車…。まさかの水遁の術も!
でもクライマックスになるにつれ、スリリングにはなってくる。
島潜入~ドクター・ノオとの対面~敵に囚われるも~天井の隙間で水の排水に遭い~基地爆破~島脱出。
昨今のシリーズのド派手アクションよりスパイ任務としては正しいかもしれない。
敵の大陰謀に秘密基地、首謀者。
あの因縁の秘密結社の名も早くも!
Mにマネーペニー。
そして、こちらも本作の名シーンの一つ! 初代ボンドガール、ウルスラ・アンドレスが白ビキニ姿で海から上がる眩しさ!
お馴染みガンバレル・シーンで始まるが、主題歌はまだ。でも、代わりにあのテーマ曲! 『SW』『ゴッドファーザー』『ゴジラ』と同じく、これこれ! これが無いと!
日本では某バラエティーの音楽に使われ特に若者の間ではすっかりそう定着してるようだが、違うんだよ! ジェームズ・ボンドのテーマなんだよ! 声を大にして言いたい!
イアン・フレミングの小説ではシリーズ6作目らしいが、映画としては第1作目となり、手堅い007=ジェームズ・ボンドの紹介、入門編。
そして世界や時代を股にかけ、その活躍ぶりで我々を魅了する事になる。