20世紀最大の哲学者のひとり、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの波乱に満ちた生涯とその思想を、独特の視点で描いた伝記映画。監督は94年2月にエイズで死去した「ザ・ガーデン」「エドワードII」のデレク・ジャーマンで、彼の最後の劇映画となった。脚本は、ジャーマンとオックスフォード大教授で作家のテリー・イーグルトン、ケン・バトラーの共同。製作はマリク・アリ、エグゼクティヴ・プロデューサーは「ザ・ガーデン」の浅井隆と、ベン・ギブソン。撮影はジェームズ・ウェランド、音楽はジャン・レイザム・ケーニッグ。主演は、ジャーマン監督作「テンペスト」にも出演したカール・ジョンソン。共演は「バットマン」のマイケル・ガウ、ジャーマン作品の常連ティルダ・スウィントンほか。
ヴィトゲンシュタイン評論(1)
本作は、そんな彼の生い立ちから、第一次世界大戦の戦地、オーストリアの田舎町での小学校の教師時代から、庭師、そしてケンブリッジ、第二次世界大戦、晩年と、文字通りその数奇な生涯を、舞台演劇のような設定で描いています。
映画として彼の生涯を描くわけですから、やはりその難解な思想を説明するのは不可能。というわけで、ある程度万人向けに本作は、彼の思想をうまく端折ながら人としてのヴィトゲンシュタインを描いてます。そうするのは仕方ないことですが、彼の人間性を描くにはとても中途半端だったというのが正直な感想。そして、その中途半端さが、逆に端折った彼の思想の解説の中途半端さも際立せているような気がしました。
正直、彼の事を知らない人が観たら寝てしまうと思います。