佐賀を舞台にした映画を製作し、都市と地方のクリエイティブの垣根をなくすことを目標に掲げた佐賀映画制作プロジェクトチームによる長編作品。プロの映画人と地元の学生や佐賀にゆかりのあるスタッフが集い、全編佐賀県内ロケを敢行。地方都市ならではのノスタルジックな風景のなかで、生きづらさを抱える人々に向けて描いた青春映画。佐賀県の田舎に住む高校3年生の副島祐樹は、大学受験を控えるなか、うまくいかない人間関係や成績不振、出来の良い弟と比較される日々に焦りを募らせていた。そして迎えた大学入学共通テストでカンニングをしたことがバレた祐樹は、その場を逃げ出し、深い森のなかへ分け入る。そこで、自己責任の名の下に、ルールにしばられずに自給自足で生きる人々のコミュニティに遭遇する。そこに暮らす、どこか変わった人々との共同生活を通じて、祐樹にも少しずつ変化が生じる。タイトルの「つ」は佐賀の方言で「かさぶた」のこと。ままならない日常から逃げ出した主人公が自分の居場所を求めて悩み、傷ついた先にできたかさぶたを意味し、傷を負うことがやがて新しい自分を作るというメッセージが込められている。
つ。評論(5)
自分は特別と思っていたけど、そうではないと思い知らされて、どうしようもなかった学生時代の気持ちを無理やり思い出してしまうそんな映画。
主人公のユウキは劣等感の塊で、全然好きにはなれないけど、どこか共通点を感じざる得ないのが悔しいところ。
特に前半の学生生活のときの、お父さんとの会話で「なんか、怒ってんのか」って。そりゃ、自分でもなんで怒ってんのか、どうしていいのかわかんないよなぁ。と自分の青臭かった時を思いだす。なんだか学生時代の日記を見ている感じ。
急展開する後半の展開は本当に怒涛のようだけれど、これもどっちを見ていいのか、自分はこんなもんなのかって、周りに対して「常に足りていない自分」を感じてしまう。
タイトルの「つ」は、かさぶたを意味するようです。確かにこの映画を見ると、ちょっと(というか、だいぶ)恥ずかしい昔の傷を思い出して傷を負いますが、最後にはその傷もうっすらかさぶたになった気もします。
そこがとてもリアルだった。
救いも居場所も結局ない主人公が、結局自分と向き合う気になった。
人生もそんなものだよなとやけに納得しました。状況は何も変わっていないのに、ふとしたきっかけで道が開けるような、もう何もないからやるしかない。という気分のような。
大人の方が理解できる作品かもです。
シーンについては、説明がないから難解。なんで?にハマると素直に見れないです。
演出が時代が入り混じってるようだし、ドキュメンタリーとフィクションをいったりきたりしてるような印象もうけるし、メタっぽい雰囲気あり。
ドキュメンタリーパートは心に響きます。
居場所をみつけれない、苛立ちをかかえる若者の葛藤と再生の物語です。
佐賀でつくられた映画で、期待度としてはそこまで高くなかったのですが、いい意味で裏切られました。
めちゃくちゃおもしろかったです。
演技につたないところは多々あれど、脚本と構成がとてもよかったのでそこまで気になりませんでした。
主演の子の表情もすごくよかった。
学生時代の苦い感じを思い出しました。
最後のおとうさんの台詞もよかったな。。自分の子どもが大きくなったとき、失敗しても逃げても、戻ってこれる場所でありたいと思いました。
うまくいえませんが、本当に観てよかった!
今は佐賀の一館でしか上映されてないようですが、多くの方にみられるようになるといいなと思いました。
最初はこの映画のツッコミどころばかりが気になってしまって、最後は何となくいい感じに終わったけれど、結局映画の始まりから終わりで主人公の中の何が変わったのか、彼がこれからどのような人生を歩んでいくのか全く分からないじゃないかと思いました。でも、暫くしてみると人生ってそんなものだよなぁと思い至りました。若い時って、他人から見れば何がそんなにいいのか分からないものに必死になって、歳をとってあとから考えれば小さな出来事で頭がいっぱいで挫折して、それでも気が付くとまた前を向いて歩いている。そういうことを大切だと確認できる作品でした。また、どこかで聞いたことがあるような、いつもだったらそのまま素通りしてしまうような言葉がそれでも胸にしみこんでくる瞬間って人生においてありますよね。主人公のそんな瞬間も含まれた映画でした。
佐賀の美しい自然も見どころでしょう。佐賀を舞台に佐賀に関わりのある人と撮影したとのことですが、途中出てくる川の水を汲んで動物を狩って暮らす自給自足の生活も都会ではきっとできない。改めて佐賀の自然の豊かさや綺麗さに気がつくことができました。