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喜劇 男の子守唄評論(1)
※ 鑑賞直後のメモから
大阪万博直後の高度成長時代真っ盛り。終戦前後の闇市を生き延びて来た、今はチンドン屋の男がフランキー堺。
お世話になった姉御の子供が、命よりも大事と育てている。
この男が好きな女性が、婦人警官の生田悦子。
隣に住むキャバレーの女と、闇市時代に〝ラクチョウのお竜〟の2役には倍賞美津子。
今は成り上がり貸し金女王が〝天王寺のお蝶〟ことミヤコ蝶々。
子供が重要な位置にいる典型的な《母モノ》だが、主人公が父親とゆう逆転現象になっている。
話自体は多くのひとが予想する通りの内容。
特にこれと言った内容でもないのだが。チラッと映る戦後の焼け跡だったり、闇市のセットがなかなか良い。『肉体の門』を彷彿とさせる、倍賞美津子(2役)とミヤコ蝶々のやり合う演技がまた良い。
フランキー堺はチンドン屋の格好で、元祖シティスリッカーズのスパイク・ジョーンズっぽい姿を披露し。《フランキー堺とシティスリッカーズ》時代をほんの一瞬だけ垣間見せる。
気の強い隣人のキャバレー女役の倍賞美津子が凄く良いのだけれど、何と言ってもミヤコ蝶々だ!
もう素晴らしいの一言。
誰にも止められないミヤコ蝶々の世界ここにあり。
あまりの凄さに声も出ないくらいです。
最早、これ程までも芸達者な人は出ないのだろうなあ〜(泣)
但し映画として残念なのは、フランキー堺が1番大事な〝もの〟を闇市仲間と自分の思い出の為に手放してしまう辺り、観ていてもちょっと悲しい。
普通ならば、その後にもう一山ある筈だけどなあ〜。結局そこで終わっちゃうのが…。
ゲスト出演で菊池章子が1曲歌う。同じくゲスト出演のバタやんは2曲。やはりゲスト出演の財津一郎は大いに笑わせてくれる。
2010年7月19日 シネマヴェーラ渋谷