1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。共演にリリー・フランキー、俳優デビュー作の「バレット・バレエ」以来の塚本監督作品への参加となるドラマーの中村達也。
野火評論(20)
原作を昔読んでいて展開は大体知っていましたがそれでも衝撃的でした。
しかし、作者の大岡正平さんが実際に体験したであろうフィリピンの戦闘・・・それによって壊れていく人間、この作品のようなことが本当にあったのだろうか?と考えると恐ろしくなります。
『炎628』に近い作品だなと感じました
あの映画の真剣な演技の空気が伝わってきた
75年前の今日8月6日、広島に原爆が落とされた。
たくさんの人が命を奪われ、大切な人を失い、たった一度の人生を狂わされただろうと思うと、二度とそのような事があってはならないと強く思う。
リリー・フランキーさん出演作品を探していて見つけた本作。レビューを鑑賞前に数件読んで、鑑賞するには覚悟がいるなという印象を持ったが、みるなら少しでも同じ過ちを繰り返さないという気持ちを思い出す今日鑑賞したいと思った。
今までも数々の戦争を描いた映画を観てきたが、本作ほど頭から最後まで、緊張して鑑賞した戦争映画は無かったように思う。
ただただ、ずっと怖かった。緊張していた。
次は何が起こるのか、想像ができない自分。
戦争を体験したこともない私にとっては、勿論、想像などできるはずもなく。
一人の兵隊が経験した戦争というものを90分みっちりと見せられた。
グロテスクなシーンはたくさんあるが、これでも現実よりはまだ優しいのでは?と思えてくる。
匍匐前進をするシーンやジャングルを走り回るシーンなど、見たこともない景色だった。
これを命がけでしていた兵隊達の気持ちなど、想像できるわけがない。これをその人達の幸せな人生を犠牲にしてまでやっていた事なのかと思うと胸が苦しくなる。
よくある戦争映画には、主人公の身内の立場の女性がいますが、自分も女性としてそういうキャラクターがいるとついついそちら目線で映画を観てしまうが、本作品ではそういう事も皆無で(最後にチラッとじょせいはでてきますけどね)ひたすら兵士がどんな環境で、どのように時を過ごしていたかが描かれているのも、自分にとっては新鮮でした。
人が人でいられなくなる環境というのは存在する事がよく分かりました。
とてもじゃないが、私はこんな場所では生きていけないと思った。だからこそ、戦争は二度と起こしてはいけないと思う。
なんでもありなのが戦争。そこにモラルなど存在しない。
どれだけ時間が過ぎようと、私たちが過去の失敗、過ちを忘れてはいけない。その為に、このような映画が必要なんだと思う。恐ろしくて二度は観られないが、人には勧めたいと思う。
という事は、こんな事が実際に行われてたって事だな…
やはり戦争というものは、人を狂わせる。
やるべきではないな。
若い政治家の中には、酔ってたとはいえ『戦争するしかない』といった事を言ってしまう人もいる。
このような作品を見て、戦争とはどんなものかを考えて欲しいものです。