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ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日評論(4)
横浜アバック座にて試写会鑑賞。まだ2021年は始まったばかりだが現時点は1番心打たれ好きな作品である。
主人公の少女ミアは父親が南アフリカでライオンファームを経営することになりロンドンから移住する事となる。国を跨いだそして都会から田舎への引っ越しとなるため学校でも馴染めず、そして家族にも強く当たり不満な生活を日々送る。
当初はライオンにもそしてライオンの赤ちゃんにも興味を示さなかったがホワイトライオンのチャーリーが生まれ、時間が経過すると共に互いが心惹かれ合いそして親友となる。
ただやはり問題も付いてくる。成長するにつれて体も大きくなり力も強くなる。襲う事が目的ではないとはいえ、人間をそして家族を襲ってしまう事も時折出てきてしまう。そのような一つの出来事が大惨事を招きかねない。3年経ったあたりで父はチャーリーを売り払うことを決断する。
ただここでミアは大きな問題と遭遇してしまう。
ライオンファームはライオンを育て購入希望者に売るのがもちろん目的ではあるが、その購入者がライオンをどう扱うかまでは関与できない。
父からはサーカスや動物園に売ると聞いていたが、実際はハンターに売り彼らは買ったライオンをハンティング別名缶詰狩りをする事だけを目的とした取引しかせず、購入者の多くがそれが目的だということを知ってしまう。
それらのハンティングは南アフリカでは合法とされており世界中の多くが南アフリカに集まり行われるそうだ。その為これらの取引で儲けたお金が南アフリカの国の経済を支えているという。
そこでミアはチャーリーと共に逃げ出し、そしてライオンをはじめとした動物園にを殺す事を許されていない自然保護区に送り届ける旅に出る。
この作品は前半はミアとチャーリーの人間と動物の友情を温かくそして美しく描かれている。
そして後半になると缶詰狩りの問題が主となりミアとチャーリーが生き延びる為に必死になる強さが描かれている。
前半は温かい気持ちで見る事ができ、時にはミアの暴走に大人目線で呆れてしまうシーンもあるが、後半になるとこちらも事情を知ったが故にこのミアの勇気ある暴走を応援する気持ちに変わって見てしまう事となった。
南アフリカの経済を支えており、これらが完全に規制されれば南アフリカ国民が苦しむ事の問題ももちろんあるだろうが、そんな人間の問題に動物の命が奪われていい理由なんてのは何一つない。
難しい事かもしれないが南アフリカの経済を安定させる事は他にも方法はあるだろう。
こういう問題は多くの人が実情を知り声を上げる事が問題解決への近道に思う。
そういう意味でもこの作品は世界中の多く人が鑑賞し、そして改めて動物に対する考え意識を改めて考えなくてはいけない。
エンドロールで現在は2万頭までライオンは減り、このペースだと20年後には絶命してもおかしくないペースだと説明される。これは絶対に許されては行けないそして取り組まなくてはいけない問題であろう。
どんなに豊かな社会になってもまだまだ原始的且つ進歩のないこのような問題を知ると本当に胸が痛くなる。
前半のミアとチャーリーの愛くるしい描写を見た後だけにこの缶詰狩問題が非常に強く憤りを感じさせられた。
また映画作品としてはCGが殆どないらしくその為迫力や時には距離感の近さから恐怖感もありとても楽しめた。
動物に対する愛とそして世界が抱える問題への憤りに対する心の移り行きもいい流れで感じることができとても貴重な時間を過ごす事ができた。
父親が爺さんから引き継いだライオンブリーダーの仕事の為にロンドンから南アフリカにやって来た家族。
友達もおらずやさぐれるミアがチャーリーによって心を保つと共に、ベタベタラブラブになり依存していくけれど、これがCGなしってマジですか?
子供の頃はもう微笑ましいの塊だし、映画として観ているから心配はないけれど、実際に撮影しているを考えると凄過ぎる。
子供と動物とか、反則級の鉄板ネタだしねw
ハクナ・マタタ的ものを想起させるヤツらも登場させながら、時に楽しく、時にすれ違い、トロフィーハンティングという辛い闇に触れて巻き起こっていく出来事は、悲しく温かく、そしてスリリングで、単純だけどとても面白かった。
3年弱の期間をかけて本物のライオンの成長を捉えており、ある意味ドキュメンタリー的要素も兼ねている。ライオンもそうだが、主人公の少女ミアや兄ミックを演じた子役も明らかに成長しているあたり、人間と動物の共存を描いた映画はたくさんあれど、その点で本作はリアリティにあふれている。
昨年公開の『グランド・ジャーニー』もそうだったが、動物の生態系の崩壊の根本にあるのは人間のエゴ。それを一家族のドラマに集約しているあたりは巧み。
あまりにもステレオタイプな悪役や、いくらなんでも盛り過ぎな終盤の展開など気になる点はあるも、裏を返せばそれだけ南アでのライオン絶滅危機が深刻しているというアンチテーゼなのかもしれない。
動物との実際の距離も、心の距離もとても近く、とっても素敵な関係に感動しました。
ミアの孤独な心をホワイトライオンのチャーリーが癒やして、今度はミアがチャーリーを体を張って危機から救うのですが、家族との絆、動物との絆がとても素敵に描かれていたと思います。
家族を守るために一生懸命働くパパと、そんなパパを支えるママ。パニック障害を抱える兄と、家族にも心が開けない孤独なミア。すれ違いながらも、最後にはちゃんと家族がひとつになってくれたのが良かったです。
アフリカの国の情勢もあると思いますが、動物との共存がやっぱり理想です。
内情を知らないから理想を言えるんですが、こういう映画を観た人たちが何かを感じて、一人でも多くの人が現状を知ることがまずは大事なんだろうなぁと感じました。