「突然炎のごとく」のジャンヌ・モローが、幸せな男を破滅へと導く冷酷な魔性の女を演じた心理ドラマ。イギリスの作家ジェームズ・ハドリー・チェイスの小説を「暗殺者のメロディ」のジョセフ・ロージー監督が映画化した。元坑夫の新進作家タイビアンは美人女優との結婚を控えていたが、ベネチア社交界の花形である美女エヴァに夢中になってしまう。タイビアンはエヴァが幾人もの男たちを破滅させた魔性の女だと知りながらも、彼女の妖しい魅力に溺れていく。タイビアン役に「ナヴァロンの要塞」のスタンリー・ベイカー。2018年、フランス映画界を代表する名優たちの主演作を集めた「華麗なるフランス映画」(18年2月~、東京・角川シネマ有楽町)でリバイバル上映。
エヴァの匂い評論(7)
ハドリー・チェイス原作。
ジャンヌ・モロー主演。
ビリー・ホリデイの歌。
このトライアングルが素晴らしい映画
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男は悪女と出会ったから堕落したのではなく、最初っから悪かったんだ(皆を騙してたし)、堕ちるべくして堕ちたんだという、チェイス特有の潔癖さがイイ。
ロージー監督は、そこに「アダムとエヴァ」のモチーフを加えて映画化。
なかなかに渋い映画だなあと思う。
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追記:ロージー監督に影響を受けたアルドリッチの『傷だらけの挽歌』(同じくチェイス原作)も、すごく好き。
しかし、映画では美女フランチェスカが婚約者なのである。はっきり言ってジャンヌ・モローは負けている。だからタイヴィアンが何故この女に惹かれるのかがさっぱりわからない。独身でしかも若ければうなづけるのだが。この男はマゾなのかな?