ダリル・F・ザナックの独立プロ第2作で、アーネスト・ヘミングウェイの同名小説の映画化。「アフリカの女王」のピーター・ヴィアテルが脚色、「回転木馬」のヘンリーキングが監督した。撮影監督は「やさしく愛して」のレオ・トーヴァー、音楽は「島の女」のヒューゴー・フリードホーファー、指揮を「女はそれを我慢できない」のライオネル・ニューマンがとった。主演は「二十七人の漂流者」のタイロン・パワー、「潮風にいたづら」のエヴァ・ガードナー、「イスタンブール(1956)」のエロール・フリン、「恋多き女」のメル・ファーラー、ジュリエット・グレコ。ほかに「桃色大王」のグレゴリー・ラトフ、「炎の人ゴッホ」のヘンリー・ダニエル、「明日泣く」のエディ・アルバート。
陽はまた昇る(1957)評論(1)
そのものズバリのブレットだ
美しい大人の女性
男の人生を誤らせるファムファタルだ
この配役が駄目なら映画にならなかったろう
100年前のパリとスペインのパンプローナ
失われた世代の物語
その世代も文字通り消え何世代も過ぎた
正に陽はまた登り、陽は沈む
時は過ぎ去るのみ
100年前の華やかな想い出の日々はもはや小説や映画の中にしかない
同じように戦後の団塊の世代という私達の上の世代も消え去ろうとしている
その相似形として観たときの感慨が21世紀に本作を観る価値なのだろうか?
そうかも知れない
その意味もあるだろう
しかし日本にもロストジェネレーションという世代が存在していることに気付きたい
いや、それこそ気付かねばならない
なぜなら彼らは本作に描かれた米国の金持ち息子たちの戦前のパリでの呆けて遊び回るロストジェネレーションの姿とはまたったく違った境遇なのだ
彼らこそ遥かに未来はないのだ
真のロストジェネレーションは日本にこそ今あるのだ
日本の失われた世代こそ陽はまた昇りまた沈むのみなのだ
そこに21世紀に生きる我々は思いを巡らせるべきだ