ジョン・ボイトとダスティン・ホフマン共演によるアメリカン・ニューシネマの名作。大都会ニューヨークで生きる若者たちの孤独と友情を描き、第42回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞を受賞した。テキサスの片田舎からニューヨークへやって来たカウボーイ姿の青年ジョーは、自身の肉体と美貌を武器に金持ち女性の相手をして富と名声を得ようと考えていた。しかし最初の客に騙され、逆に金を巻き上げられてしまう。そんな彼の前に、足の不自由な詐欺師ラッツォが現れる。2人はともに底辺から這い上がろうともがくうちに奇妙な友情で結ばれていくが、ラッツォは深刻な病に侵されていた。監督は「ダーリング」「遥か群衆を離れて」のジョン・シュレシンジャー。
真夜中のカーボーイ評論(15)
バスの中で、小便ちびることに情けなく泣きながらくたばるホフマン
虚しさ、苦しみを、淡々と、冷酷に、そのまま映し出す
胸を打つのだ
知らぬ間に頬を伝う雫に我に帰るのだ
最後に慟哭でスクリーンがくぐもり
エンドロールが見えない
夢を持った若者たちの上京物語。苦しい思いの後に大切なものを見つける。苦しい思いが人が人を愛する力をくれるのかもしれない。大切なものを守るために人間は見栄や思い上がりを捨てることができる。真っ当に生きようとすることができる。
自分の家へジョーを招きいくらでも泊めてあげたリコ。
汗まみれで汚いリコを自分のシャツで顔を拭ってあげたジョー。
自分の血を売ってリコにアスピリンを買ってくるジョー。
リコのために病院ではなくてフロリダ行きの切符を買ったジョー。
バスの中で失禁したリコを冗談で笑い包むジョーはかっこいい。
当時の流行・安っぽさ漂う浅はかな映画でも、心に響くのはそんな理由からかなと思った。