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タイガーランド評論(8)
ベトナム戦争末期の新兵訓練施設で、良い意味で軍に馴染まず、常識や法律を上手に屈指しながら自らの意思を貫く主人公の物語。
厭戦ムード漂いながらも旧態依然とした軍隊の中で、その姿勢と行動は、爽快に感じられます。
ただ、友人を軍隊から救い出し、自らも脱走しようとすらしながら最終的に戦地に赴いたエンディングには、少なからず戸惑いを覚えました。彼が除隊してしまっては映画的には締まらないものになるのは重々理解していますが、結局彼が求めたものは何だったのか分からなくなりました。
映画としてはそこそこ楽しめましたが、少しばかり物足りなく感じた映画でもありました。
主人公は徴兵されていて戦場を戦争をあからさまに拒み、その態度をときに実行する設定。だが、行動を共にする相棒は志願兵で戦場に赴くことに前向きで、なぜか作家志望。似つかわしくない二人を対話させることで、テーマを浮き上がらせる。
他登場人物もタイプ別のようなところがあって、志願兵だが家族向け体裁だったり、徴兵され現状に甘んじるしかなかったり、上官は基本戦場至上主義のスパルタ。
当時ベトナム戦争下では、一国の軍の訓練の中でさえ衝突が起きる必然。そこに重点をおいて外さなかったシナリオは地味ながら良いと思う。コリンファレル主演のアクションみたいな見られ方で損してそうな作品。
「こいつは何がしたいんだ!?」て冷静に主人公に怒ってた。
反発するのは恐怖の裏返し。とよく言うけど、あんだけ行動できたら…うん。
終盤のタイガーランドでの訓練は、戦争に潜む狂気を感じた。
いまの時代で生きることに感謝です。
そして虚しくも、一生を戦争に奪われてしまった若者の分まで必死に生きよう。