君は永遠にそいつらより若い

主人公と自分をかなり重ね合わせて見てしまい、とてもヒリヒリしました。自分にはあるべき何かがなくて、それが漠然と恐怖で、だからってどうしたらいいかもわからなくて、とりあえず笑って誤魔化そう、そんなホリガイの姿を自分と重ねて、とてもヒリヒリしました。
タイトルをホリガイが言うシーンは、とっ散らかっているけどとても心に刺さり鳥肌が立ちました。どこで出てくるか、必見です！
就職してるとか、してないとか、処女とか、じゃないとか、そういった白と黒で悩む人に、前に進む気力を与えてくれるような作品です！
ホリガイが表に出せなかった自分の思いを吐露したとき、イノギが聞いていないようにみえてサトウのごはんを置いて、ホリガイを受け止める。めちゃくちゃいいシーンでした。

佐久間由衣と奈緒が出るという情報のみで鑑賞。
パンフ買ったら下手なエッセイ本より分厚いただの本でした。佐久間由衣は「"隠れビッチ"やってました」で自分の中の評価上がってる女優さんです。奈緒は変な人の役ばかりしているイメージですが、今回は割と普通の人です。多分。
内定をもらい、後は卒論書けば卒業という女子大生の約半年を描いた作品です。
その間に実際に起きたら事件だけど新聞に載るほどではない出来事がいくつか起こり、色々主人公に変化を与えていく、といった内容です。
ポスターは奈緒とダブル主演といった感じでしたし、終盤一番重要人物として描かれているのですが、そこまでの交流だったかなあ、大学の友人の中では多分一番気があったんだろうけど・・・。
逆に引っ掛かったのはそれくらいで、隠れビッチの時もそうでしたが、最初の印象があんまり生理的に受け付けないのに、映画が終わる頃には共感できる女の子を演じさせたら佐久間由衣は随一だと思いました。

ついに現代っぽい映画キタか？!と思い、公式サイトと予告ムービーをチェック。
おろっ？
15年前の原作で処女の大学生？
ん～。
リーマンショック前…
彼氏、彼女、結婚、出産が全世代共通の話のネタだった時代。童貞、処女なんて簡単に捨てられて飲む打つ買うも盛んだった頃。
セフレや不倫も現代よりかなり軽い扱いで、手を挙げればできる遊び感覚だった。

現代は男女交際経験がないまま社会人になる人達も急増していて大学生の処女は珍しいことではない。
ただ時代が違いすぎる。
悩みの重さが違う。

ん～。大丈夫か？これ？
と思いつつもピンクヘアに惹かれて映画館へ。
↓

心配的中！
15年前に現代っぽさを中途半端に塗りたくった何時代でもない不完全な世界に、未熟な主観達が交錯したぼやけたストーリー。
それが長々と続き「あっちゃー⤵️」
と思っていたら
牡蠣鍋からピースがはまり始める。

処女、ネグレクト、過去の秘密、空白、焦燥、衝動
欠落、悩みの共有、優しさ、使命感
などがラストまでに一気に繋がる!

この原作が15年前ではなく今映画化されたことに納得

現代の若者なら何か大切なものを感じることができると思います😊

ネタバレ！ クリックして本文を読む
観ていて辛いシーンが幾つか有りましたが、何と言いましょうか、ゆっくりと優しく世の中で悩み苦しんでいる人々に寄り添う様な視点が素晴らしいと思います。
また、これは誤解を生みやすい評価かも知れませんが、終盤の主演2人のキスシーンはとても美しかった。
美しく・切なく・儚さを感じさせる素晴らしいシーンでした。

地元の児童相談所への就職が決まった大学4年生のポチョムキンが種々問題を抱える人たちと出会う話。

コンプレックスを抱える人、自分の存在価値を見出せない人、友人の異変に気付けなかった人、大きなキズとトラウマを抱える人、そしてネグレクトにあう子供等々に出会い主人公が何を感じるのか…。

自分が何とかしてあげたい、自分がそこにいられたならと追い込む人がいる一方、自分が出来ることなんてないと嘆く人がいたり、行き詰まった時に一緒に居てくれる人がいたり。

人はそんなに程万能じゃないし、非力なものではあるけれど、独りで生きることは難しいし、独りで生きる必要もないし。

そんなことを考えさせてくる作品だった。

堀貝と猪乃木が出会った教室でのトラブルに対する一言とか、他にもいくつか、馴れ合わない核心をつく一言に結構擽られた。
そして牡蠣がマジで美味しそうだった。