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仁義なき戦い 代理戦争評論(14)
「仁義なき戦い」シリーズ第3作。
Blu-rayで2回目の鑑賞。
愛と野望に生きた男たちの情念を悲劇的に描いた前作から一転、再び広島やくざたちの血で血を洗う集団抗争劇へと戻って来ました。実質上、本作が第1作の続編に当たります。山守組の内ゲバに端を発した「第一次広島抗争」の後、小さな組の小競り合いが関西の二大勢力の代理戦争へと拡大した「第二次広島抗争」の火ぶたが切って落とされました。
人物関係が複雑に入り組んでいるので、手元に相関図を置いて観ることをお勧め致します(笑) ちょっとでも気を抜くと分からなくなって、初鑑賞時はBlu-ray BOXに付属しているブックレット片手に何度も巻き戻しながら観ました(笑)
昔の映画の特徴と言えるのかどうかは分かりませんが、シリーズの他の作品で死んだ人物を演じていた俳優が別の役で再登場することがよくありますなぁ…。本シリーズも例外ではありませんでした。本作では第1作で死んだ若杉を演じていた梅宮辰夫が明石組の岩井役で再登場し、「わしゃ怪我人や!」と血まみれになって吼えていた渡瀬恒彦も広能組の構成員・倉元役でカムバック。“ピラニア軍団”にまで目を向ければもっとそういう現象が起こっていて…。これも登場人物の相関関係をややこしくしている一因のような気がしました。
そんな混迷の情勢化においても、マイ・フェイバリット・キャラ、山守組長(金子信雄)の狡猾さはますます絶好調。広島の頂点を極めた山守に翻弄される広能(菅原文太)の苦悩と、一矢報いるために巡らせた策略にハラハラしました。
日活から離れた小林旭が武田役で参戦。現実主義者にしてなかなかの策士で、とても魅力的なキャラクターでした。グラサン姿がカッコ良過ぎやろ…。かなり強面やのに病弱というギャップ萌え(笑) 本格的な活躍は「頂上作戦」にて!(笑)
タクシー会社社長とやくざの組長という二足の草鞋を履いた打本(加藤武)。なかなかのどっちつかずで始末に負えない(笑) 神戸の明石組に近付いて、それが抗争の火種に…。いつの世もこういうヤツが状況を悪くする…。打本の弱腰が抗争を長引かせた原因のひとつであることはもはや明白…(笑)
弱肉強食、命懸けの生存競争の中で、色鮮やかな男たちの欲望が激しく爆発していて容赦無い迫力でした。両陣営のパワーゲームは熾烈を極め、仲間内でも信用出来ず、強いものには巻かれろ形式で簡単に尻尾を振る下道ども…(笑)
関西暴力団の進出により泥沼化する争いの中、どこから新たな火種が飛び出して来るか分からず、人を人とも思わぬ狂犬たちの暴走は留まることを知らず…。
鮮烈な情無用な終幕への熱狂を湛えたまま、次作へと続くラストが秀逸でした。本作と第4作「頂上作戦」は見事な構成の二部作になっているなと改めて思いました。
【余談】
眉毛無いのはヤバい…(笑)
誰のことかは分かるじゃろ?(笑)
※追記(2020/2/15):Blu-rayで鑑賞。
小物の癖にずる賢い田中邦衛の嫌だ身が十分に出た作品
やっぱり男としては菅原文太が演じる広能のようにかっこよくありたいと思うのだけれど、面子と保身のために立ち回るヤクザたちの人間臭さに負の共感をしてしまう。
そういう男になりたいけれどなれない男たちの物語を体現しているのが渡瀬恒彦演じる倉元で、母親に煙草をあげるシーンとか、焼けた遺骨をぎゅっと握り締めるシーンがいちいち泣けた。
そしてやはり「リアル」なヤクザ映画だ。何がリアルか?暴力描写がリアルなのか?違う。広能(主人公)の周りにいるクソ野郎どもは自分の利益のことしか考えておらず、文字通り、誰も信用できない。この「信用できない感」が素晴らしくリアル。
ヤクザ以外の現実世界でも「信用できない奴」って正にこんな感じなんだwww。「あ・・・。こいつ自分のことしか考えてねぇ・・・。」という人間は、非常に多い。特に中間管理職に多い泣。だから困る。そういうゴミ中間管理職野郎をぶっ殺すための映画が、仁義なき戦いなんじゃボケぇ!!!!
映画としての面白さが濃縮されてある
そこにさらに代理戦争というモチーフで外部の二大勢力に知らぬ間に手先となりその勢力争いの先兵となっていく姿
それは米ソの冷戦の狭間で切り崩しをかけられている日本の姿そのものにオーバーラップされている
ラストシーンで原爆ドームが映される
それは本作の舞台が広島であるからではない
ラストシーンのナレーション
闘いが始まるときまず喪われるものは若者の命である
そしてその死はついに報われることはない
つまり米ソ冷戦の狭間に巻き込まれて日本の若者達は戦争に追いやられてしまうかもしれない
その行き着くはては原爆ドームだとのメッセージだ
単なるお花畑の夢想的平和主義の主張ではない
代理戦争に巻き込まれていく広島ヤクザ達それぞれは、日本の各政党の政治家や、マスコミや言論家の姿にオーバーラップして見えるように製作されているのだ
覇権を巡る世界的な戦略の中では現実主義者しか生き残れないのだ
それこそこの広島ヤクザ達の抗争と同じなのだ
ヤクザの幹部はいう、自分も安全保障を考えないと危ないですと
また別の幹部は中立を保ちたいと言い出すが、それはいまさら許されない、それなら我々の敵だと宣告されるのだ
そして独立独歩で平和に暮らして行きたいとの主人公の願いは、巨大二大勢力の狭間では許されないのだ
それは日本の姿そのものなのだ
ならばどうすればいいのか?
そこで本作は終わる
その結論は私達観客=日本国民一人ひとりが考えなければならないことなのだ
それは本作品から47年も経っているのになにも変わりはしない
今度は米中の新冷戦の狭間の代理戦争のなかで抗争が行われているのだ
本作の登場人物の誰に、政治家あなたは相当するのだろうか?
娯楽映画としても優れている
クライマックスに突入する前の停電と復旧の見事な計算された演出
クライマックスの抗争シーン
あくの激しく強い俳優達
終盤の火葬場のシーンは強烈だ
名作であるのは間違いない