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白痴(1951) プロット 日本 05月23日 1951 台灣上映
恋人(1951) プロット 日本 03月07日 1951 台灣上映
舞姫(1951) プロット 日本 08月17日 1951 台灣上映
ショウ・ボート(1951) プロット アメリカ 04月03日 1952 台灣上映
黄昏(1951) プロット アメリカ 10月15日 1953 台灣上映
晩秋 プロット アメリカ 04月20日 1990 台灣上映
麦秋(1951)評論(20)
小津作品は「晩春」に続き2本目の鑑賞。生活感あふれる何気ない日々をここまで魅力的な映画に変えてしまうのだからやはり凄い。小津監督のスタイルと名匠と言われる所以が分かってきた。
冒頭の朝食のシーンから魅力的だった。本当に何気なくて当たり前の普通の日々。それが映画になると一周回って凄く新鮮で斬新に感じた。温かみや優しさに溢れた作品で、じわりじわりと押し寄せてくる感動があった。ボクシングに例えるならストレートやアッパーの様な強烈なパンチではなく、ジャブやボディブローの様なこまめなパンチを打ち続けられ、気がついた時にはその魅力にドップリと浸かってるというような感覚。「これが小津マジックか!」と思った。
「晩春」に続き原節子の美しさは圧巻だったが、個人的には三宅邦子が美しくて演技もとても印象的だった。笠智衆の存在感も流石だった。
劇中の音楽もとても良かった。
ボケかかったじいさん。悪さするガキども。年頃の女の子たちのたわいない会話。
自然と笑みがこぼれる。幸せな気持ちになる。
原節子に淡島千景。もう綺麗とか可愛いとかのレベルじゃない。女神だな、ありゃ。
ふたり揃って、憎まれ口をたたくシーンが好きだ。「ねえ」がリフレインする。
ゆったりと時が流れ、小鳥がさえずる。平和だ。ふとした瞬間に入る一コマが本当に美しい。
風船が飛んでくシーンは、白黒なのに、晴れ渡った青い空が実感できる。そこに戦闘機はない。
戦地から帰ってこない者もいて、口ではあきらめたという親父。
昭和の大家族。家族が支え合っていた時代。なんとも清々しい。
ひとつひとつのシーンに、それぞれの人生に、ドラマがある。
杉村春子の一言。息子がいくつになっても変わらぬ親心。骨身にしみたわ。
「麦秋」ってタイトルも、なんとも粋だ。初夏の収穫時。梅雨入り前の短い期間。
人生の最も輝いてる時期を戦争なんかで費やすんじゃないって。そう監督が言ってるようにも聞こえた。
日本人にある相手への思いやりの気持ちが、会話の節々に感じられる。
家族の中がしっかりと小さな社会として成立してて、尊厳と愛情があるがままに存在し受け入れられている。
穏やかな人物たちに、美しい風景。日常の一場面に過ぎないのだが、その一瞬一瞬に確かなドラマがあり、移り変わる時の流れや、その人その人の心情が見事に描かれてる。
無駄がなく、緊張感を抱かせない、見事な映画。